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2018年9月27日木曜日

新しい情報については、こちらのHPで発信してまいります。

2015年までの活動については、旧HPも参照いただければ幸いです。
http://kyotoufemale.web.fc2.com/index.html


2018年度 女性教員懇話会からの提案事項一覧
女性教員懇話会事務局(平成30年3月2日)

1. 学内保育所の創設
2. 一時預かり制度の創設(おむかえ保育サービスの柔軟化)
3. 育児休業による任期の(事実上の)短縮の補完
4. 産休・育児休業中・復帰後の研究資金
5. 研究実験補助者制度やTA・RA制度の利用形態の拡大
6. 女性休憩室の充実
7. 評価指標達成促進経費について
8. 男女共同参画推進センター専属教員の配置
9. その他お金をかけずに実現できること

1. 学内保育所の創設

 学内保育所を創設する具体的な計画を進めていただくことはできないでしょうか。
 障害となりうる点があるとすれば、具体的にはどのようなことでしょうか。

(必要な理由)
研究者には、移籍や留学・在外研究の関係で、0歳児4月・1歳児4月のタイミングで子どもを保育園に入所させることができないことがある。
大学に所属する若手研究者のうち、大学院生や大学と大学から就労証明書を取得できない地位の研究者は、自治体が策定する保育所入所者の選考基準において、優先度が低いため、入所できないことや、兄弟姉妹が別の保育所になることが多い。
保育園入園待機乳児保育室の対象乳児の月齢が低い(15ヶ月まで)。
優先順位の低い大学院生等は、希望の保育所に入れず、(たとえば、交通の便が悪いなどの理由で)空きの多い保育所に回される。

2. 一時預かり制度の創設(おむかえ保育サービスの柔軟化)

 日曜日・祝日・夜間など、一般の保育園では預かってもらえない時間帯で子どもを一時的に保育してもらえる施設を創設してもらうことはできないでしょうか。
 
(必要な理由)
研究者の勤務形態や業務時間は、一般の就労(いわゆる9時5時で働く業務)とは大きく異なることが多いが、そのようなニーズは、行政サービスではなかなかくみ取ってもらえない。

3. 育児休業による任期の(事実上の)短縮の補完
 
 育児休業を取得しても任期が延長されない現在の状況を変更できないでしょうか。
 任期延長そのものが難しい場合でも、育児休業を取得した研究者が、育児休業取得期間に相当する期間だけでも、就労できるポストを用意することはできないでしょうか(育児休業中、大学は、人件費の支払を免れているので、その分を復帰後に支給することによって、大学側の負担が増えることはないのではないかと思われます)。

(必要な理由)
出産適齢期の研究者の多くは、任期付きのポストにあり、育児休業を取得しても任期が延長されなければ、次の仕事につながる仕事を完成させる見通しを持ちにくく、育児休業の取得や子どもを持つことそれ自体を諦めざるを得ない。
科研費については、育児休業取得による延長が認められているにもかかわらず、復帰した後に職を失うのであれば、事実上、延長制度は使うことができない。

4. 産休・育児休業中・復帰後の研究資金

 科研費には、育児休業から復帰した研究者で、通常の研究費の応募タイミングを逸した者のための研究支援のカテゴリーがあります(「研究活動スタート支援」)。京都大学の若手研究者スタートアップ研究費にも、科研費の「研究活動スタート支援」のような、育児休業から復帰した者が応募できるそのようなカテゴリーを設けていただくことはできないでしょうか。
 また、さらに一歩すすめ、産休・育児休業中の研究者に対する研究支援のカテゴリーも創設していただくことはできないでしょうか。
 休暇・休業中の研究者への資金援助は、勤務・研究時間の管理が難しいため制度上実現が困難であるという指摘もあるようですが、たとえば、産休・育児休業中の研究者の同僚や指導教授等に、当該研究者と継続的に連絡をとる「メンター」となってもらう配置するような制度によって、時間の管理もできるのではないでしょうか(現在でも、TAやRAの勤務時間の管理は、雇用者である教員が行っており、それと同じことではないかと思います)。
 
(必要な理由)
育児休業中は、科研費の支給が止まってしまいますが、休暇・休業中も研究活動を続けたいと望む研究者は多く、研究上の支出が必要となる場合もあり(動植物のケア、実験等の継続、論文の校正、学会出席など)、また、科研費が本人だけでなく、研究室の大学院生等の研究資金を支えていることもある。

5. 研究実験補助者制度やTA・RA制度の利用形態の拡大

 産休・育児休業中、および子どもが小さいために、あるいは介護中であるために、十分に研究のための時間が確保できない研究者のために、サポート要員を雇用する財源を確保していただくことはできないでしょうか。
 育児休業中に、休業している教員のために、非常勤講師を雇うことはできるようになっていると思いますが、その資金の一部を、授業ではなく、研究そのたの業務を補助してもらう人手を雇う資金として確保していただくことはできないでしょうか。
 あるいは、TAやRAの制度をもう少し柔軟にしていただくことはできないでしょうか(たとえば、大学院生以外を雇用できるようにする、研究・教育以外の業務の補助も依頼できるようにするなど)。
 業務時間の管理については、4に述べたことが当てはまります。

(必要な理由)
育児休業中は、科研費の支給が止まってしまうため、科研費で雇用していた人に業務の継続を依頼することができなくなってしまう。
産後休暇・育児休業中であるか否かを問わず、子どもが小さい間、また、継続的な介護に携わっている間は、研究その他の業務に使える時間は激減する。
研究実験補助者の制度があるが、研究は自分自身でするしかない分野(たとえば人文社会学系)においては活用可能性に限りがあり、また、成果に対するハードルが高いため、短期間で成果が出せない分野では利用しにくい。

6. 女性休憩室の充実

 各部局にある女性休憩室を、授乳や子連れ出勤にも対応できるスペースにするよう働きかけていただくことはできないでしょうか(すでに、アジア・アフリカ研究所地域研究研究科では、実現されています)。
 授乳・搾乳スペースについては、休憩室には、通常、給湯スペースがありますので、その部分をカーテンで囲い、授乳用のソファーを置くだけで実現できます。
 キッズスペースには、男親も入れる必要があるので、現在の休憩室を転用する場合には、休憩室(授乳・搾乳室)用の入り口とは別にキッズスペース用の入り口を作り、中を仕切れるようにする必要があるかもしれません。
 また部局により、女性休憩室の管理や利用状況が異なるようなので、現状調査もお願いできたらと思います。

(必要な理由)
一時保育を利用するまでもないけれども、子どもと出勤しなければならない場合に、子どもを遊ばせるスペースがあると、それだけで、業務に集中することがずいぶん楽になる。
共同研究室を利用している研究者には、授乳や搾乳のスペースがない。
休憩室の利用形態の柔軟化は、部局の判断でできることかもしれないが、女性研究者の発言力が低い部局では、実現することが難しい。

7. 評価指標達成促進経費について
 評価指標達成促進経費の評価指標には、現在、男女共同参画にかかる指標がありません。
 男女共同参画とワーク・ライフ・バランスの向上の両立の障害は、子育てや介護により中断される業務が、他の教職員の負担になることです。特に、昨今の人件費の削減の結果、マンパワーの余裕がない現場では、そのような問題は深刻です。実際には、多くの人の無償の善意に頼っている状態です。
 評価指標達成促進経費の評価指標に、子育て・介護との業務の両立を可能とするために努力することも加え、そのような努力が金銭面で評価される仕組みができれば、無償の善意に対して、何らかの還元ができるだけでなく、自発的な取組みは、他の部局へのモデルにもなるのではないかと思います。
 客観的な指標を立てるのは難しいかもしれませんが、たとえば、(男女を問わない)育児休業の取得率・取得期間や、介護休暇等の取得率(有給の消化を優先させることを防止)などが挙げられます。

(必要な理由)
本文参照。

8. 男女共同参画推進センター専属教員の配置
 男女共同参画推進センターに専属の常勤教員を配置していただくことはできないでしょうか。

(必要な理由)
男女共同参画推進センターに専属の教員が配置されていないために、専門的・継続的に、制度の運用状況を評価し、改善提案していく視点が欠ける。
理事や事務職員に多くの負担が掛かっているのではないかと、危惧される。

9. その他お金をかけずに実現できること
 お金をかけず、少しの手間と配慮で多くの人が幸せになれることも多いので、継続的に啓蒙活動にお力添えいただければ、ありがたく存じます。

会議が午後5時以降もされる慣行の廃止を、部局を問わず進めること。
「共働き・核家族・男女とも家事・育児・介護参加」を標準形として、業務の量・時間帯を設定すること(平日17時以降・土日祝日は業務ができないことを前提とすること)。
Skype等の利用による遠隔地からの会議参加を可能としていくこと。
本人の意思や必要性に反して、有給・育児休業・介護休業の取得、出産・妊娠をためらわせるような言動は、ハラスメントに該当しうることを周知すること。
育児・介護中の教職員のための大学の諸制度を定期的に周知すること(このようなライフイベントに直面するまでは、気にとめられないことが多いため)。
介護休暇の取得より有給の消化を優先する必要がある等の誤解を解消すること。
女性休憩室の存在を利用対象者に周知すること。
育児休業・介護休業中の教職員を職場に呼び出すことのないようにすること(連絡方法や業務の依頼方法など、あらかじめ相談する体制を設けること)。